“言葉は思考のベースキャンプ”メモ

2. 戦略・戦術


戦略とは、@市場の中の、A組織の、B活動の、C長期的な、D基本設計図、である。

(伊丹敬之、 日経新聞2002.1.17)
(付記) 戦略は、まず@市場競争の中で、判断されなければならない。ただ、競争というと、競合他社のことを考えがちであるが、真の競争相手は顧客のニーズであることを忘れてはならない。お客様は競合他社よりももっと手ごわい競争相手である。
戦略は、A人間集団を率いるための構想、ベクトル合わせなので、「旗」が明確でなければならない。参画者が理解できなければならない。ゴールを示すだけでは不十分である。
戦略は、B実行可能なアクションの構想でなければならない。出来もしない「空飛ぶ絨毯」であってはならない。
戦略は、Cその場しのぎでなく、中長期のビジョンをもたなければならない。
戦略は、D基本構想である。ディテールをすべて設計することではない。

戦略論の使い分け

  1. 持続的な成長の可能性がある・産業構造が安定している事業分野 → 戦略ポジショニングとオペレーションの効率化

  2. 新市場が既に開け、持続的な成長が予測される事業分野→ 経営資源の集中投入、スピード

  3. 先行きが予測出来ない事業分野・新市場を開拓すべき分野→ 奇兵隊

    (C&Cユーザーフォーラム)
(付記) (1)比較的産業構造が安定している事業分野ではマイケルポーターの「競争優位の戦略」が有効(分厚いので読むのがたいへん)。
(2)新市場が開けている事業分野では、一気に資源を投入するナポレオンの戦略が有効。ただ、集中の仕方を誤るとロシア戦線の敗北のようになる。
(3)まだ先が読めない事業分野では、戦略もスピードも有効ではない? 特殊部隊の設置か。

高収益が見込める競争要因

  1. 新規参入の脅威が少ない

  2. 供給業者や買い手に対する交渉力が強い

  3. 業界の敵対関係が弱い

  4. 代替品の脅威が少ない

(マイケルポーター 2002.2.14)
(付記) 当たり前のことであり、チェックリストとしては有効。

市場の不完全競争状態という歪みが超過利益をもたらす。

(ユーザーフォーラム 2001.12)
(付記) 古くは、紀伊国屋文左衛門に、新しくは「談合」、「寡占」に例あり。
なお、同様の言葉で「創業者利益」、インターネットの世界では「Winner takes all.」というのがある。

グローバリズムとは無形資産である

(C&Cユーザーフォーラム 2001.12)
(付記) なぜトヨタは世界で通用しているのであろうか。トヨタは車という有形なものを供給して成功している。しかし、トヨタが世界で強いのは、品質の高い車を作る生産技術であり、ハイブリッド車を作れる設計技術という無形資産にあると考えることができる。
無形資産には、@ブランド(シティグループ、アメックス)、A技術(ファイザー、マイクロソフト)、Bビジネスモデル(デル、TI)、C人材(ゴールドマンサックス、アクセンチュア)、D知識などがある。

バリューとは「お得感」である。

(原田永幸 日本マクドナルドCEO)
(付記) 「付加価値」という言葉がはやり言葉になって久しいが、さて具体的に何を指すのかということになると分かりにくい言葉である。この「お得感」というのは、ズバっとお客様へ提供すべき価値を言い得ており、FC展開でもお店の人にすぐ理解してもらえるであろう。

いい加減な統計をデッチあげるのは簡単だが、それを反駁するには何倍もの努力を必要とする。

(赤川学 「人口減少社会における選択の自由と負担の公平」 2007.5)
(付記) 「つっこみ力」(パオロ・マッツァリーノ)の本の中でで引用されている言葉である。いくら精緻に説明されているデータでも、「なんか変だな」と思ったら気をつけた方がよい。帰納法で反駁するのはたいへんなので、演繹的アプローチを取ることをお勧めする。